ほぼフルタイムワーママが都会で自給自足を目指すブログ

ほぼフルタイムのワーママが、緑のない都会で自給自足を目指す軌跡を記していきます。

ブックレビュー「人生後半の戦略書」

図書館で借りて読みました。

かなり読み応えがあり、付箋を貼る手も止まらず、本が付箋だらけに……

著者を含め、対象とする読者は「成功した中年」のようです。

私は成功したとは言い難いですが、それでもかなりためになりました。

20代30代の時に、がむしゃらに働いて、ある程度成果を出したと思える人は、読むのをオススメします。

私自身、そのくらいの時にかなり働いて、仕事中心の生活を送っていて、そのせいで平日の日中に済ませるような用事を全くできなかったです。例えば、区役所に行って書類をもらうとか、病院に行くとか、そういったことを全くできませんでした。今思うと異常ですが汗。

当時は、21時に帰宅するとやることがなくて暇で困ってしまっていました。日付けが変わる前に帰宅できるのが戸惑いになるという、またまた普通でない感覚でした。

私は、幸いにも、これが普通でないということに、30代後半で気付けて、今はこんな生活はしていませんが、本書の読者は、40代を超えてもこのような生活を送っている前提のようです。

このような読者を、著者は「仕事依存症」で「成功依存症」と呼び、アルコール依存症患者と同じように、治していく必要があると言います。

 

以下は、心に残った文書です。

 

P77「私は幸福になるより、特別になりたいのかもしれないわ」
幸福になることより特別になることを選ぶ人は、依存症に陥っているのです。

P78 私がこれまで見てきた中で、特にたちが悪く毒性の高い依存性は、仕事依存症です。

P80 個人的には次のように尋ねた方が的を射ていると思います。1.仕事後に大切な人のために使うエネルギーを残しておけず、抜け殻のようになるまで仕事をやめられませんか?

P81 仕事依存症の人は、自分の求める成功を実現するには14時間目の労働が必須だと信じ込んでいます。しかし実際には、その時点になると生産性は極端に下がる可能性が高いです。経済学の研究では一貫して、1日当たりの労働時間が8時間もしくは10時間を超えると限界生産性が低下する、という結果が出ています。

P82 あらゆる依存症に共通するのは、人間と愛情関係を結ぶに値しないもの、たとえば酒やギャンブルや賞賛、そして、そう、仕事と、不健全な関係に陥る点です。仕事依存症の人の人生は、仕事に支配されています。そのため、仕事依存症の人は記念日に出張し、我が子の野球試合を見逃します。

P83 仕事依存症の人が本当に求めているのは仕事そのものではなく、「成功」です。身を粉にしてまで働き、手に入れたいのは、お金であり権力であり威信なのです。何故なら、それは世間から承認され、喝采され、賞賛されていることの表れであり、コカインからソーシャルメディアまであらゆる依存性のあるものの例にもれず、神経伝達物質ドーパミンを刺激するからです。

P130 満足=持っているもの÷欲しいもの

P134喪失や病気を経験することで、重要なものがはっきり見えるようになって、人生における不健全な執着に気付くのです。さまざまな研究で示されているように、病気や喪失を乗り越えた人々は心的外傷後成長を体験します。実は、がんと診断されてから長期間生き延びている人々は、人口統計学的に類似の特徴を持つ、がん経験のない人々よりも、高い幸福度を申告する傾向があります。がんの長期生存者に話を聞いてみてください。財産、お金の心配、非生産的な関係といった重しとなっていた愚かな執着から解放された、と答えるでしょう。命を失う脅威は早々に削岩機を手に取り、本当の自分を包み隠している翡翠に当てて、生きる目的を掘り出そうとします。

P152 しかし、その戦略は効果がありません。世間はあなたを忘れます。人々は立ち止まりません。ジャック・ニコルソン主演の人気映画「アバウト・シュミット」では、保険数理士として成功した主人公が仕事を引退したところ、誰からも助言を求められなくなって呆然とします。引退の数日後、仕事を手伝ってやろうと思い元職場に立ち寄ると、同僚たちが自分の過去の仕事を一つ残らず業務用廃棄ボックスに捨てていたのです。あまりにも哀れな、しかし真実を映し出した場面です。

P155 友人や家族に寛大に接することで得られる報いに比べ、昇進などの職業上の見返りがいかに1時的なものか考えてください。あなたにより大きな満足をもたらすものは何ですか?1時間の残業?1時間の人助け?それとも1時間の祈りでしょうか?

P156 要するに、「あと1年しか生きられない、働けない」と思って生きればいいのです。毎月、最終日曜日の午後に、今からあげる疑問について考えてください。キャリアも人生もあと1年しか残っていないとしたら、来月の予定に何を入れるだろう?todoリストには何を載せるだろう?どの悩みを手放すだろう?きっと「配偶者との時間を犠牲にしてまた出張に行く」「上司にアピールするため遅くまで残業する」という予定は入ってこないでしょう。その代わりに、「週末に小旅行をする」「友達に電話をする」といった予定が盛り込まれるのではないでしょうか。

P169 「人生を幸せにするのは何?最も長期にわたる幸福の研究から」ロバート・ウォールディンガー

P190 晩年は特に本当の友達の有無がウェルビーイングに大きく影響します。中年期以降の幸福に大きく貢献する要素の一つが、真の親友を数人スラスラと挙げられることであることは数々の研究により証明されています。

P193 臨終の床にいる老人が家族に後悔を語るお決まりのシーンで、「もっと沢山働けばよかった」という人はいないことを覚えておくと良いでしょう。

 

いかに、仕事に依存し続ける人生が良くないか、分かりました。

今でも、仕事は楽しいので、気付くと残業、ということはありますが、たいていの場合、帰宅後に力が残っていなくて、家族に優しくなれない自分に自己嫌悪を感じていました。

いくら楽しいからといって、人生の優先順位を間違えてはならないと、思いました。